2012年の厚生労働省の報告によると、日本の65歳以上の認知症高齢者数は約462万人だそうです。認知症とは「20歳頃までに獲得した様々な認知機能が、脳の損傷のために、自立した日常生活を送ることが困難なくらいまで低下した状態のこと」で、主な症状は
1.認知機能障害:異常な物忘れ、言語障害など
2.行動・心理症状(BPSD):不安、興奮、幻覚など
3.神経症状:麻痺、歩行障害など
です。認知症の介護は難しいと言われていますが、その介護を難しくしているのは主にBPSDと呼ばれる「行動・心理症状」で、これは適切な対応(ケア)をすることで症状を軽減できることが分かっています。
1.認知機能障害:異常な物忘れ、言語障害など
2.行動・心理症状(BPSD):不安、興奮、幻覚など
3.神経症状:麻痺、歩行障害など
です。認知症の介護は難しいと言われていますが、その介護を難しくしているのは主にBPSDと呼ばれる「行動・心理症状」で、これは適切な対応(ケア)をすることで症状を軽減できることが分かっています。
認知症のBPSDに対する適切な対応(ケア)とは何でしょうか?風邪をひいたときは薬を飲んで早めに寝る、というのが適切な対応の1つだと思いますが、BPSDにはどのようなものがあって、それに対する適切な対応(ケア)とは何でしょうか?
例えば「いきなり両手で机を叩きだす」というのは、たくさんあるBPSDの中の1つです。「机を叩くのを止めましょう」とお声掛けして、それでおさまればいいのですが、認知症の方の場合は、言われていることが分からなかったり、あるいは何か困っていることがあるのにそれをうまく表現できなくて、目の前の机を叩いたりすることもあり、なかなか叩くのを止めて下さらないことがあります。そんな時、ある認知症ケアの専門家は、その机に「ぬいぐるみを置く」という対応をしたところ、その認知症の方は机を叩くのを止めたそうです。なんとも心温まる、まさに適切な対応(ケア)だと思いませんか?
もちろんいつでも、だれにでもうまくいくとは限らないでしょう。実際、この方法がうまくいく確率は、今のところ50%のようです。なぜ「50%」の確率だと分かるかというと、「認知症ちえのわnet」で調べたからです。
「認知症ちえのわnet」は、認知症の様々なBPSDに対する様々な対応方法を、うまくいく確率と共に公開しているwebサイトで、日本医療研究開発機構の認知症研究開発事業の支援を受けて運営されています。webサイトには、毎日、日本全国の認知症介護に携わっている方々から、「こんなことがありましたが、こんな方法で対応したらうまくいきました・うまくいきませんでした」という体験談が投稿されていて、認知症ちえのわnetではそれらを集計して、確率を計算して、公開しています。私は医療情報に関する研究の一環で、このwebサイトの研究開発を担当しています。
認知症のBPSDや対応方法について知りたいことがあれば、ぜひ一度、認知症ちえのわnetを覗いてみて下さい。そしてもし、「こんなことがあって、こんな方法で対応したらうまくいきました・うまくいきませんでした」という体験をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひその体験談を投稿して下さい。きっと日本のどこかで「なんでこんなことが起きてしまうんだろう?」「どうしたらいいんだろう?」と悩んでいる人の助けになると思います。
「認知症ちえのわnet」には、認知症ケアでこんがらがって(知恵の輪)しまっている方々を、みんなの知恵(の輪)で助けよう・解きほぐそう、という意味が込められています。もっともっとたくさんの、皆様の ”ちえのわ” が必要です。ぜひ皆様からのたくさんのご投稿をお願い致します。