毎朝、小学5年生の娘は「ママ、抱っこして、ギューしよう」と言って起きてきます。娘は、小学1年生の冬に「発達障害」と診断されました。
「発達障害」は、脳の機能に問題があり、「注意散漫」「集団行動がとれない」など行動やコミュニケーションなどの障害により社会生活に困難が生じる状態になることが分かっています。このような状態を、人々からなかなか理解されにくい現状があると言われています。
娘が診断を受けた時には、ショックで身の置き場のないほどの悲しい気持ちと、どこかホッとする気持ちの両方の気持ちが入り混じっていたことを覚えています。娘と接する中で、“何か違う”と感じつつ、自分勝手で余計な用事をどんどん増やしていく娘が私を邪魔しているように思ったり、“自分は助産師なのにどうしていいかわからない”と自分を攻めてみたり、7年間はいつも不安でいっぱいでした。しかし、診断を受けて、“私の子育てがダメなだけではなかった“とホッとし、子育てへの重荷が一気に軽くなった感じでした。
今日まで乗り越えられ、またこれからもさまざまな問題を乗り越えていなかければなりませんが、自分と向き合える仕事という時間と環境があることをありがたく思っています。
仕事・職に就いていることにより、上手く進まない、でもまた頑張る、達成できたという充実感と家族に迷惑かけている、子どもに寂しいと感じる時間を与えてしまっているという少し後ろめたい気持ちなどがいつも錯綜しています。しかし、娘をはじめ家族や職場のみなさんに負担をかけながら今の自分があるという気概がどんなに疲れていても、家に帰ったら、娘と笑顔で接しようという気持ちになります。何より娘の素直な無垢の笑顔をみると、幸せを感じ、また頑張ろうという気持ちを奮い立たせてくれます。
発達障害をもつ人への支援として「発達障害者支援法」が平成17年に施行されてからは、医療、保健、福祉、教育、労働等の現場での取組は年々拡充しておりペアレント・トレーニングなどの家族支援を実施する市町村も年々増加しています。一方、施行から10年が経過し、乳幼児期から高齢期まで切れ目のない支援、家族なども含めたきめ細かな支援及び地域の身近な場所で受けられる支援が必要となってきており、平成28年5月に「発達障害者支援法の一部を改正する法律」(平成28年法律第64号)が成立されました。
女性が仕事と家事、育児を両立していくためには、さまざまな政策と支援がまだまだ必要だと思っています。
私のこころの支えとなっている娘、家族、そして職場のみなさんに感謝しつつ、明日の朝も娘をギューと抱きしめて起こします。