東京医療保健大学
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ヘルスケアコラム

研究のすすめ

医療保健学部 医療情報学科
杉田 純一

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」とは,かの有名な福沢諭吉の『学問のすゝめ』の冒頭の一節です。学問は言うにおよびませんが、本コラムでは、主に学生の皆さんに向けて“研究”をおすすめしたいと思います。特に、卒業研究が選択科目になっている学科の学生さんには、ぜひとも卒業研究を履修することをおすすめします。

筆者が大学時代に所属していた研究室の指導教員はとても楽しそうに研究をする人で、筆者もとても楽しく研究を行うことができました。その後、企業に就職し、大学教員に転職しましたが、大学時代に研究を通して学んだことが、どんな仕事をするうえでもとても役に立ちました。

通常の講義では、講義を聞く、教員に出された課題を解く、教科書を読むなど受動的な学習が主となります。一方、研究では、研究成果を発表する、課題を自分で見つけて解決方法も自分で考える、論文を書くなど、能動的な行動が求められます。研究では、自分で主体的に行動する態度を身につけることができます。いわゆる指示待ち人間と呼ばれる人は、この態度が身についていないものと思います。

研究は、課題を見つける、課題の解決方法を考える、課題の解決方法を実践する、結果をまとめる、結果を発表する、という過程で構成されます。この過程で学べることは
・問題提起・解決能力
・文章力
・プレゼンテーション能力
などであり、その土台となる論理的思考力を養うことができます。

研究というと、ゼロから大発見を生み出す必要があると思われがちですが、多くの研究は巨人の肩の上に立つことで成り立っています。アイデアは、既存の技術・知識を組み合わせることで生まれます。アイデアがでない場合の多くは創造力が足りないのではなく、知識や技術が足りないのです。勉強をする理由のひとつはこのためです。論文はアイデアの宝庫であり、読まない手はありません。

企業や病院では論文は書かないと思うかもしれませんが、論理的な文章はどの書類を作成するうえでも役に立ちます。Adobe ResearchのHertzmann氏は「Clear writing requires clear thinking; muddled writing is a sign of muddled thought」と述べています [1]。論理的に文章を書けるというのは、業務内容や課題について頭の中の整理ができる、ということです。

学問のすゝめの冒頭の一節は「けれども今広くこの人間世界を見渡すと、賢い人愚かな人貧乏な人金持ちの人身分の高い人低い人とある。その違いは何だろう?それは甚だ明らかだ。賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ。」にかかっています。学問と同様に研究で培った能力が、きっと貴方を賢人に近づけるでしょう。研究をしてみませんか?

参考文献
[1] Aaron Hertzmann: “Writing Research Papers”

教員データベース:杉田 純一⇒

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