最近、娘たちが「今日何食べた?好きな本は?遊びに行くならどこいくの?」とお気に入りの歌を口ずさみます。それを聴いて、私は、幼い時に学校の先生からよく問われていた「昨日は何時に寝た?」「今朝は何時に起きた?」「朝ごはん食べた?」というフレーズが頭にめぐります。夏休みや冬休み、インフルエンザなど感染症が流行する時期になると「早寝早起き朝ごはん」と語呂合わせ的な言葉をよく耳にします。小さい頃、早寝・早起きをしてしっかり朝ごはんを食べることをはじめ、遊びや排せつも含めた生活リズムが大切だと叩き込まれてきました。親となった私も、いま娘たちによく言っています。さて、これは、子どもに限っての習慣でしょうか?
文部科学省は、2006年から「早起き・朝ごはん」をスローガンに、特に子どもたちの健康と成長のために国民運動を推進し、その母体として「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が設立されました。以前からも研究されてはいましたが、基礎科学研究をはじめ応用臨床研究が進められ、科学的な根拠が明らかになってきました。さらに、2017年のノーベル生理・医学賞を受賞した「体内時計」に関する研究は、「時間栄養学」という栄養学の新しい分野を確立し、「早寝早起き朝ごはん」が経験的なものから科学的に正しいことが明らかになっています。
2021年、「早寝・早起き・朝ごはん」全国協議会は、子どもの頃の生活習慣が、大人になった時に、どのような影響をおよぼすかについて調査しました。その結果、子どもの頃に「早寝早起き朝ごはん」をよく実行していた人ほど、大人になっても規則正しい生活習慣が身についており、「意欲・関心」「人間関係能力」など、生きるために必要なさまざまな能力の高い傾向が示されました。
ことわざにも「寝る子は育つ」「早寝早起き病知らず」とあります。さらに「朝飯にかけ汁は親不孝」といった、食べ物を噛まずに飲み込むのは体によくないということわざもあります。しかし、多忙な現代社会を生きる大人たちは、遅い時間の就寝、起床、そして朝食を取らないあるいはドリンクのみで済ませるといった習慣になりがちです。大人にとっての「早寝早起き朝ごはん」は、健康状態やメンタルヘルスを良好に保ち、仕事の効率アップや積極的な社会参加など、将来に明るい見通しを得ることができ、ワーク・ライフ・バランスに繋がるのではないでしょうか。忙しい毎日ですが、明日から「早寝早起き朝ごはん」に加え、「朝ごはんをしっかりよく噛んで食べる」を取り入れてみませんか。
引用・参考
「早寝早起き朝ごはん」全国協議:「早寝早起き朝ごはん」の効果に関する調査研究 報告書 ,2021年3月