地域包括ケアとは?―健康的に暮らし、かっこよく亡くなる時代の到来―
「地域包括ケアシステム」という言葉を聴かれたことがありますか。これは、今、わが国が直面している世界に例を見ない高齢化のスピードと超高齢社会の到来に対応すべく、社会保障制度の維持に向け、国がとっている施策の一つです。実はその中には「本人・家族の選択と心構え」と謳っている部分もあり、国・行政、医療・福祉関係者だけへの施策ではなく、国民の皆様にも深い関りのある施策なのです。なぜなら、世界に冠たる社会保障制度の維持には国民・住民の皆様が主体的にご協力いただかなければならない局面になり、わが国の社会保障制度が立ち行かなくなることを国が認識しているからです。
では具体的に、どのようなことが私たち一人ひとりの国民に望まれているのでしょうか。国や都道府県や自治体が主体となる公的な支援「共助」「公助」だけでなく、「互助」といわれる近隣の助け合い、ボランティア、NPO法人活動、多額の寄付など地域におけるインフォーマルな相互扶助も含めた地域活動に加え、自分の健康は自分でやりくりする「自助」も合わせた活動が望まれています。ただ、地域活動が活発なところとそうでないところがあり、「互助」は地域差が生じます。そこで互助に加えて自分のことは自分でやりくりして健康的に年を重ねて生きましょうという「自助」の出番というわけです。皆様もご存じ「メタボリックシンドローム予防」をはじめ、最近よく耳にするようになった「ロコモティブシンドローム予防」「サルコペニア予防」「フレイル予防」なども、実は、国民の皆様に健康志向の生活を勧めるため、国や自治体が、意図的に発信しているのです。
さらに病院でいろいろな管を体に入れられたままの状態で最期を迎えるのではなく、できるだけ住み慣れたご自宅で穏やかに自然に最期を迎えていただくために、自治体として「お看取り作法」や「終活」といった「かっこよく亡くなるための支援」の輪も広げつつあります。社会保障制度の公的支援だけでなく、もはや、その地域での生き方や生活スタイルそのものを変えることが求められる時代なのかもしれません。このように、わが国は社会保障制度継続のため、国民の皆様お一人お一人の健康的生活を願い、かっこよく亡くなるお手伝いをすべく、必死に啓発しながら「地域包括ケアシステム」ということをすすめているのです。